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DXとAXの違いとは?中小企業の経営者向けに定義と進め方をわかりやすく解説

デジタル化の次に来る「AX」とは何か。経済産業省のDXの定義と最新の調査データをもとに、DXとの違いと、地方企業の経営者がいま取り組むべきことを解説します。

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この記事の要点

  • DXは、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード3.0」で、データとデジタル技術を使って製品・サービスやビジネスモデル、業務・組織・企業文化までを変革し、競争上の優位を確立することと定義されています[1]。
  • 経済産業省の「DXレポート2」は、DXを「デジタイゼーション(紙などのデータ化)」「デジタライゼーション(個別業務のデジタル化)」「デジタルトランスフォーメーション(全社の変革)」の3段階に分けています[4]。
  • AX(AIトランスフォーメーション)には公的な定義はまだありません。Enbitoでは「AIが文章作成・分析・判断の補助まで担える前提で、仕事の進め方そのものを設計し直すこと」と定義しています。
  • 中小機構の調査では、中小企業のAI導入率は20.4%。「付加価値創出」の効果を挙げた企業はAIで22.3%、従来のITで7.4%で、AIは効率化だけでなく新しい価値づくりでも評価されています[3]。

ガイドこのテーマの全体像は中小企業のAI導入ガイド

ここ数年、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が広く使われるようになりました。そして生成AIの普及により、「AX(AIトランスフォーメーション)」という考え方も語られるようになっています。

この記事では、公的な資料でDXの定義と段階を確認したうえで、AXとの違い、DXが途中の会社でもAXを始められるのか、最初の一歩を整理します。

DXとは:デジタルで事業と組織を変えること

経済産業省は「デジタルガバナンス・コード3.0」で、DXを、ビジネス環境の変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、製品・サービスやビジネスモデルを変えるとともに、業務・組織・プロセス・企業文化も変え、競争上の優位性を確立することと定義しています[1][2]。

紙の書類の電子化やクラウドサービスの導入は、その入り口にあたります。

DXの3つの段階:デジタイゼーション・デジタライゼーション・DX

経済産業省の「DXレポート2(中間取りまとめ)」は、企業が成熟度に応じて取り組みを設計できるように、DXを3つの段階に分けています[4]。

段階DXレポート2での説明[4]中小企業での例
デジタイゼーションアナログ・物理データのデジタルデータ化(典型例は紙文書の電子化)紙の請求書や日報をデータで残す
デジタライゼーション個別の業務・製造プロセスのデジタル化受発注や勤怠を、1つの業務ごとにシステムで回す
デジタルトランスフォーメーション組織横断・全体の業務・製造プロセスのデジタル化と、顧客起点の価値創出のための事業やビジネスモデルの変革部門をまたいでデータをつなぎ、新しいサービスや売り方をつくる

同レポートは、重点部門を見極めて小さく始め、成功事例をつくってから段階的に全社へ広げる進め方を勧めています[4]。「中小企業での例」の列は、私たちが分かりやすく置き換えたものです。

AXとは:AIを前提に、仕事の進め方そのものを変えること

AXには、DXのような公的な定義はまだありません。Enbitoでは、AIが文章作成・分析・判断の補助まで担えるようになったことを前提に、業務の流れや役割分担そのものを見直す取り組みをAXと呼んでいます。

「今の作業をデジタルに置き換える」のではなく、「AIがいる前提で、人は何に時間を使うべきか」から考える点が、私たちが考える一番の違いです。

DXとAXの違い(整理)

DXAX(Enbitoの定義)
出発点データとデジタル技術の活用[1]AIが文章作成・分析・判断の補助を担える前提
主な問い業務や事業をどうデジタル化・変革するかAIがいる前提で、人は何に時間を使うか
変える対象製品・サービス、ビジネスモデル、業務・組織・企業文化[1]業務の流れ、役割分担、意思決定の進め方
進め方デジタイゼーション→デジタライゼーション→全社の変革と段階的に進める[4]効果の大きい1つの業務でAIを試し、仕事の流れごと見直して広げる(私たちの考え)
最初の一歩の例紙文書の電子化[4]議事録・文書作成など、AIが得意な業務を1つ選んで試す(私たちの考え)

AXはDXと対立するものではなく、DXを進める手段としてAIを中心に据えた考え方だと私たちは捉えています。

DXが途中でもAXは始められる?(私たちの考え)

始められると私たちは考えています。生成AIを使った文章作成や議事録の作成などは、社内のデータ化が進んでいなくても、1つの業務から試せるためです。

一方で、AIに社内の情報を使わせて分析や判断の補助まで広げるには、データがそろっていることが前提になります。AXを小さく始めながら、効果の出た業務から順にデータ化(デジタイゼーション)を進めると、DXとAXを並行して進められます。

中小企業の現実:専任の担当者がいる会社は3.0%

DXでもAXでも、「誰が進めるのか」が最初の壁になります。中小機構の報告書では、AI・ITの導入や活用を推進する専任の担当者がいる中小企業は3.0%、専任の部署がある企業は2.3%で、85.9%は「特定の担当者はおらず、経営者・現場従業員が個別に推進している」状態でした[5]。

担当者を置けないことを前提にすると、全社のDXの計画を先に作るより、経営者が1つの業務でAIを試し、効果が出た流れから順にデータ化と仕組み化を進めるほうが止まりにくいと私たちは考えています。これが、私たちがAXを「1つの業務から始める」と言っている理由です。

AXの最初の1業務の選び方(私たちの目安)

見るところ向いている業務後回しにする業務
かかっている時間毎週・毎月くり返し、合計の時間が多い年に数回しかない
手順決まっていて、結果を人が確かめられる判断や調整が中心(中小機構の報告書では、AI導入後も効率化が難しい業務は「人の判断が必要な業務」67.1%が最多[5])
扱う情報社外に出しても問題のない情報で試せる個人情報や取引先の機密が中心
データの状態文章やメモ、Excelとして手元にある紙にしかない、または誰も記録していない(先にデジタイゼーションが要る)

業務ごとの効果の出やすさは「中小企業の業務改善にAIを使うには」の記事で、公的な調査のデータとあわせて整理しています。

データで見る:中小企業のAI導入と「付加価値」の評価

中小機構が全国の中小企業を対象に行った調査(2025年11〜12月実施)では、AIを導入している企業は20.4%、導入を検討している企業は18.6%で、合わせて39.0%がAIの導入に前向きでした[3]。導入済みの企業で最も使われているのは生成AI(82.6%)です[3]。

導入の目的は「業務効率化/作業時間の短縮」が87.0%で最多でした[3]。一方、導入の効果として「付加価値創出」を挙げた企業は、AIでは22.3%、従来のIT活用では7.4%でした[3]。効率化だけでなく、新しい価値を生む手段としてもAIが評価されていることが分かります。

地方企業にとってAXがチャンスである理由(私たちの考え)

  • 少ない人数でも、文章作成や分析などの業務品質を高めやすくなった
  • 月額制のクラウドAIなど、小さく始められる手段が増えた
  • 場所を問わず、外部の知見やパートナーとつながりやすくなった

経営者が最初にやるべきこと

まずは経営者自身がAIで何ができるのかを体感し、自社の課題と結びつけて考えることです。そのうえで、次の順番で進めることをおすすめします。

  • 業務を書き出して、時間がかかっている業務・人に依存している業務を見つける(業務の棚卸し)
  • その中から、AIが得意な業務(文章作成・要約・分類など)を1つ選んで試す
  • 効果を測り、業務の流れや役割分担ごと見直してから、ほかの業務へ広げる

業務の棚卸しの具体的な手順や、業務改善と業務改革の違いは、下の関連記事で解説しています。

まとめ

DXがデジタルによる事業と組織の変革だとすれば、AXはAIを前提にした仕事の再設計です。DXの段階が途中でも、AXは1つの業務から始められます。人・時間・資金に制約のある地方企業こそ、AXによって大きく変われる可能性があると私たちは考えています。

よくある質問

Q.DXの公式な定義はありますか?
A.経済産業省の「デジタルガバナンス・コード3.0」で定義されています。データとデジタル技術を活用して、製品・サービスやビジネスモデル、業務・組織・企業文化までを変革し、競争上の優位性を確立することとされています[1]。
Q.デジタイゼーションとデジタライゼーションの違いは何ですか?
A.経済産業省の「DXレポート2」では、デジタイゼーションはアナログ・物理データのデジタルデータ化(紙文書の電子化など)、デジタライゼーションは個別の業務・製造プロセスのデジタル化とされています。その先の全社的な変革がデジタルトランスフォーメーションです[4]。
Q.AXの公式な定義はありますか?
A.2026年9月時点で、DXのような公的な定義は確認できていません。Enbitoでは、AIが文章作成・分析・判断の補助まで担える前提で、仕事の進め方そのものを設計し直すことをAXと呼んでいます。
Q.DXが終わっていないと、AXには取り組めませんか?
A.私たちは、取り組めると考えています。文章作成や議事録などは1つの業務からAIを試せます。ただし、社内のデータを使った分析などに広げるにはデータ化が必要なので、AXを試しながら効果の出た業務からデータ化を進めるのがおすすめです。
Q.AXは何から始めればよいですか?
A.経営者自身が生成AIを使ってみたうえで、1つの部署の業務を書き出し、時間が多く・手順が決まっていて・機密性の低い業務を1つ選んで試すことをおすすめしています。中小機構の報告書では専任の担当者がいる中小企業は3.0%にとどまるため[5]、最初は経営者が自分で動かす前提で小さく始めるのが現実的です。くわしい手順は「AI導入は何から始める?」の記事にまとめています。
Q.中小企業のAI導入はどのくらい進んでいますか?
A.中小機構の調査(2025年11〜12月実施)では、AIを導入している中小企業は20.4%、導入を検討している企業は18.6%でした。導入済みの企業では生成AIの利用が82.6%と最も多くなっています[3]。

参考・出典

  1. [1]経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」
  2. [2]経済産業省「デジタルガバナンス・コード」
  3. [3]独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)調査結果のポイント」
  4. [4]経済産業省「DXレポート2(中間取りまとめ)(2020年12月28日)」
  5. [5]独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)報告書(図31 効率化が難しいと感じる業務、図32 導入後の運用課題、図34 担当部署・担当者、図43 クラウドサービスの契約額)」

制度・数値は2026.10.09時点で各公式情報を確認したものです。補助金・助成金などは公募回ごとに内容が変わるため、申請の前に必ず最新の公式情報をご確認ください。

Author

中胡 翔太郎株式会社Enbito 代表取締役

広島県出身。大手日系事業会社で生成AIを実際の業務に組み込み、大手外資系コンサルティングファームで企業の業務改革を支援。個人事業として30社以上の企業・事業者の立ち上げと成長に伴走。現在は株式会社Enbitoの代表として、地方の中小企業のAI活用支援・業務改善に取り組んでいます。

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