本文へスキップ
Enbito
AI活用公開

中小企業のAI導入はどこに相談する?相談先5種類の違い・国の無料窓口の比較・段階別の選び方

AIを入れたいが、社内に詳しい人がいない。誰に相談すればよいのか分からない。国の無料窓口から民間の支援会社まで、相談先の種類と違いを公式ページで確かめ、自社の段階に合う選び方を整理しました。

約21分で読めます

この記事の要点

  • AI・ITの導入を進める専任の担当者がいる中小企業は3.0%で、85.9%は経営者や現場の従業員が個別に進めています。「適切なベンダーや製品を選ぶ情報が十分にある」に当てはまらないと答えた企業は79.8%でした[1]。相談先を探すこと自体が、多くの会社にとって最初の壁になっています。
  • 相談先は「国の無料窓口」「都道府県・市町村などの地域の窓口」「商工会・金融機関・税理士などの身近な支援機関」「IT導入支援事業者・ITベンダー」「伴走型の民間の支援会社」の5種類に分けて考えると選びやすくなります(私たちの整理です)。
  • 何から始めるか決まっていない段階では、国の無料窓口が使えます。よろず支援拠点には令和8年度に各拠点へAIアドバイザーが配置され[2]、中小機構のIT経営サポートセンターは1回60分のオンライン面談を無料で複数回利用できます[5]。地方の会社でも、場所を選ばずに相談できます。
  • どの相談先でも、先に「時間がかかっている業務を3つ」書き出して持っていくと、話が具体的になります。ツールが決まってから相談するのではなく、業務を整理する段階から相談する順番をおすすめします(私たちの考えです)。

ガイドこのテーマの全体像は中小企業のAI導入ガイド

「AIを使ってみたいが、社内に詳しい人がいない」「営業の電話はよくかかってくるが、どこに相談するのが正しいのか分からない」。地方の中小企業の経営者の方から、よく聞く声です。AI導入の相談先を調べると、サービスの紹介ページはたくさん出てきますが、私たちが調べた範囲では、相談先の種類を並べて比べた情報は多くありません。

この記事では、中小企業がAI導入を相談できる先を5種類に分け、それぞれの違い、国の無料窓口の比較、いまの段階に合う相談先の選び方、民間の支援会社に確かめたい質問、相談の前に用意するメモを順に説明します。窓口の内容・費用・回数は、中小企業基盤整備機構(中小機構)、中小企業庁、デジタル化・AI導入補助金事務局の公式ページを2026年10月8日に確認したものだけを載せています。私たちの考えやおすすめは、そうと分かるように書いています。

なお、AI導入の全体像(何から始めるか・費用・補助金・社内ルール)は「中小企業のAI導入ガイド」の記事で、補助金と各地域の制度の探し方は「中小企業のAI導入に使える補助金・公的支援まとめ」の記事で扱っています。この記事は「誰に相談するか」にしぼった内容です。

データで見る:なぜ相談先が必要なのか

中小機構が2025年11〜12月に行った調査(有効回答1,668社)では、AIを導入している中小企業は20.4%、「導入を予定・検討中」が18.6%、「導入予定はない」が61.0%でした[1]。検討している会社は、すでに導入した会社とほぼ同じ割合です。

その検討を進める体制を見ると、AI・ITの導入や活用を進める専任の担当者がいる企業は3.0%、専任の部署がある企業は2.3%にとどまり、85.9%は「特定の担当者はおらず、経営者・現場従業員が個別に推進している」と答えています[1]。社内に聞ける人がいないのは、ごく普通の状態です。

情報も足りていません。同じ調査で「適切なベンダーや製品を選定する情報が十分にある」に当てはまらないと答えた企業は79.8%、「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」に当てはまらないと答えた企業は83.3%でした[1]。AI導入の課題としては「導入にあたっての高コスト」46.9%に続いて、「社内のAIノウハウ不足」42.0%、「社内のAI人材不足」38.8%が挙がっています。導入を予定・検討中の企業にしぼると、「社内のAIノウハウ不足」は59.3%、「社内のAI人材不足」は53.7%まで上がります[1]。

公的な支援として何が必要かを聞いた設問では、「専門家の派遣や導入相談(個別コンサルティング)」を必要と答えた企業が59.8%、「導入事例や活用事例などの情報提供」が70.5%でした[1]。「誰かに相談したい」という需要は、数字にもはっきり出ています。

この数字から、私たちは次のように考えています。人も情報も足りない中で、ツールを売る側の説明だけを頼りに決めると、自社に合うかどうかを確かめる手段がありません。売る立場にない相談先を1つ持っておくことが、AI導入の最初の一歩になります。

AI導入の相談先は5種類:違いを一覧で比べる

AI導入について相談できる先を、立場と費用で5種類に分けました(私たちの整理です。公的な分類ではありません)。

種類主な例費用向いている場面気をつけたいこと
① 国の無料窓口よろず支援拠点(AIアドバイザー)、生産性向上支援センター、IT経営サポートセンター、E-SODAN[2][5][7]無料[2][5][7]何から始めるか決まっていない。売る立場にない人の意見を聞きたい助言が中心で、設定や開発の作業を代わりにやってもらう場ではない(私たちの理解です)
② 地域の窓口都道府県・市町村、産業振興財団などの相談会や専門家派遣制度ごとに違う地域の補助金や専門家派遣とあわせて相談したい制度の有無・対象・受付期間が地域ごとに違う。公式ページで確認する
③ 身近な支援機関商工会・商工会議所、取引のある金融機関、顧問の税理士など。国が認定する「認定経営革新等支援機関」もある[11]相手による会社の数字や事情を知っている相手に、まず方向を相談したいAIそのものに詳しいとは限らない。詳しい窓口を紹介してもらう使い方が合う
④ IT導入支援事業者・ITベンダーデジタル化・AI導入補助金の事務局に登録された事業者[10]、ソフトウェアやクラウドサービスの販売会社相談の費用は事業者による。導入は有料使いたいツールがほぼ決まっている。補助金を使って導入したい自社で扱う製品が提案の中心になる。業務の整理は自社で済ませておく
⑤ 伴走型の民間の支援会社AI導入支援会社、コンサルタント、業務改善の支援会社有料(内容と期間で決まる)業務の整理から定着まで、社内の手が足りない支援の範囲と、終わったあとに社内で回せるかを契約前に確かめる

5種類は、どれか1つを選ぶものではありません。①で方向を決め、④や⑤で実行する、というように組み合わせて使えます。私たちは、どの会社にも「①のうち1つ」と「③のうち1つ」を、費用のかからない相談先として持っておくことをおすすめします。

① 国の無料窓口を比べる:7つの窓口・サービスの違い

国と中小機構は、中小企業がデジタル化やAI活用を相談できる窓口をいくつか用意しています。中小企業庁の相談窓口のページでは、経営全般の相談先として「よろず支援拠点」が、IT化・デジタル化・DX化の相談先として中小機構の「IT経営サポートセンター」が案内されています[3][4]。名前が似ていて分かりにくいので、公式ページの内容を表にまとめました。

窓口・サービス形式費用・回数相談できること
よろず支援拠点(AIアドバイザー)近くの拠点で相談。予約方法は各拠点のホームページで確認[2]何度でも無料[2]国が全国に設置した無料の経営相談所。令和8年度に各拠点に配置されたAIアドバイザーが、AIを活用できる業務の整理、導入に向けた社内文書・データの準備、活用可能なサービスの検討などを支援[2]
生産性向上支援センターサポーターが現場を訪問(複数回)[2]何度でも無料[2]国がよろず支援拠点内に設置。業務の最適化・効率化・デジタル化など、生産性向上に向けた伴走支援[2]
IT経営サポートセンターオンライン面談(専用サイトから予約)[5]無料。1回60分、複数回利用可能[5]ITの専門家が、課題が不明確な場合は課題の整理・見える化を、明確な場合は個別の具体的な相談に対応[5]
デジwith(IT戦略ナビwith・ここからアプリ)ウェブサイト(自分で使う)[6]登録不要・無料(専門家への相談は事前申込み)[6]5分ほどのアンケートで自社のデジタル化の状況を同業他社と比べ、経営課題に合うITソリューションを知る。業種や目的からビジネス用アプリを検索[6]
E-SODANチャット(平日9:00〜17:00)[7]無料・予約不要。目安は1人30分程度[7]経営に関する悩みに専門家がチャットで回答。個人情報や営業秘密は入力しない決まり[7]
生産工程スマート化診断専門家が訪問。全3回、おおむね2カ月以内[8]無料[8]生産現場を調査し、ロボット(自動化)・IoT・デジタル技術の活用可能性を提案。設備投資を検討中の事業者向けで、導入・実装までの支援は行わない[8]
ハンズオン支援(専門家派遣)専門家を一定期間派遣。数カ月〜10カ月程度(20回程度)[9]有料。専門家1人・1日あたり1万7,500円(消費税込)[9]業務フローの見直し、システム化構想の策定などを、社内プロジェクトチームをつくって進める。実務の代行は行わない[9]

使い分けの目安は次のとおりです(私たちの考えです)。「AIを何に使えばよいか分からない」段階なら、よろず支援拠点のAIアドバイザーか、IT経営サポートセンター。よろず支援拠点は「どの業務にAIを使えるのか分からない」「何から始めればよいか分からない」という段階からでも相談できると案内しています[2]。IT経営サポートセンターも、具体的な課題が分からなくても、ITの専門家と話すことで悩みや問題点を整理できるとしています[5]。

現場を見てもらいたいなら生産性向上支援センター、製造の現場で設備投資まで考えているなら生産工程スマート化診断が合います。ちょっとした疑問を今すぐ聞きたいときは、予約のいらないE-SODANが手軽です。腰をすえて業務の流れから見直したい会社には、有料のハンズオン支援という選択肢もあります。

地方の会社にとって大きいのは、オンラインの窓口があることです。IT経営サポートセンターはオンライン面談なので、場所を問わず利用できます[5]。近くに詳しい人がいない地域でも、移動の時間をかけずに専門家と話せます。

②③ 地域の窓口と、身近な支援機関の使い方

都道府県や市町村、産業振興財団などが、独自の相談会や専門家派遣、補助金を用意している地域があります。内容・対象・受付期間は地域ごとに違い、年度の途中で受付が終わることもあるので、必ず公式ページで確認してください。私たちが公式ページで確認した範囲では、岡山県・山口県・島根県の支援を県別の記事にまとめています。地域の制度の探し方は「中小企業のAI導入に使える補助金・公的支援まとめ」の記事で説明しています。

商工会・商工会議所、取引のある金融機関、顧問の税理士は、会社の数字や事情をすでに知っている相手です。AIそのものに詳しいとは限りませんが、「うちの規模で、いま投資してよいか」「使える制度はあるか」といった相談の入口になります(私たちの考えです)。

こうした支援者のうち、税務、金融および企業財務に関する専門的知識や、支援にかかる実務経験が一定レベル以上の個人・法人・中小企業支援機関などを、国は「経営革新等支援機関」として認定しています。中小企業庁のページから、認定支援機関の活動内容や支援実績を検索できます[11]。顧問の税理士などが認定を受けているかどうかは、同じページの一覧や検索システムで確かめられます。

よろず支援拠点は、相談内容に応じた適切な支援機関の紹介や、支援機関どうしの連携のコーディネートも行うとしています[2]。どこに相談すればよいか分からないときは、よろず支援拠点で「どこに相談すべきか」から聞くのが早道だと私たちは考えています。

④ 補助金を使うとき:IT導入支援事業者という相談先

デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)を使ってツールを導入する場合は、相談先が制度で決まっています。補助金を申請する中小企業・小規模事業者は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要です(複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く)。対象になるITツールも、事前に事務局の審査を受けて補助金のホームページに公開(登録)されたものに限られます[10]。

IT導入支援事業者は、生産性向上を目指す中小企業・小規模事業者などにITツールを導入し、補助事業を円滑に進めるための支援を行う事業者で、事務局と外部審査委員会の審査を経て採択されます[10]。申請に必要な手順やステップは、IT導入支援事業者がサポートします[10]。

ここで知っておきたいのは、制度概要のページが、申請までの手順を「解決したい課題や導入したいシステムやサービスが明確にある」ところから説明していることです[10]。つまり、IT導入支援事業者は「何に使うかが決まったあと」の相談先です。何に使うかが決まっていない段階で相談すると、その事業者が登録しているツールの中から選ぶ話になりやすいので、先に①の窓口で業務を整理しておくことをおすすめします(私たちの考えです)。補助金の金額や締切は「補助金・公的支援まとめ」の記事で確認日つきで整理しています。

補助金をめぐっては、注意も必要です。中小企業庁は、「中小企業庁の認可/認定を受けた会社」を名乗る事業者や「中小企業庁の職員」を名乗る人物から「補助金・助成金がもらえる」という連絡を受けたという情報が複数寄せられているとして、注意を呼びかけています。中小企業庁が補助金・助成金などの勧誘を電話・メール・はがき・SNSなどで行うことは一切なく、事業者が「中小企業庁の認定」などを称していても事実と異なる場合があるとしています[3]。向こうから連絡してきた相手に相談する前に、公式ページで確かめてください。

⑤ 民間の支援会社に相談するとき:確かめたい8つの質問

業務の整理から導入、定着まで社内の手が足りないときは、民間の支援会社やコンサルタントに頼む方法があります。公的な窓口と違い、設定・開発・研修などの作業まで任せられるのが利点です。一方で、会社によって得意な範囲や進め方が大きく違います。私たちは、最初の面談で次の8つを聞くことをおすすめします(私たちの考えです)。

質問確かめたいこと
1. 最初に何をしますか?ツールの提案から始まるか、業務の聞き取り・整理から始まるか
2. 扱う製品に決まりはありますか?特定の製品を売る立場か、製品を選ばない立場か
3. どこまでが支援の範囲ですか?相談だけか、設定・開発・社員への説明・定着まで含むか
4. 費用は何で決まりますか?期間、人数、作業の内容。見積もりの内訳が出るか
5. 月々かかる費用は何がありますか?ツールの利用料、保守の費用、契約の更新の条件
6. 途中でやめることはできますか?小さく試す期間があるか、やめるときの条件
7. 入力する情報はどう扱われますか?社内の情報・個人情報の扱い、AIサービス側での利用の有無
8. 終わったあと、社内で回せますか?手順書や指示の例が残るか、担当者が自分で直せる状態になるか

8つ目は、とくに大事だと私たちは考えています。中小機構の調査では、AIを全社的に導入している企業でも、運用の課題として「従業員による活用が進まない」が40.4%挙がっています[1]。導入して終わりではなく、社員が使い続けられる状態までを支援の範囲に入れているかを確かめてください。

答えがあいまいな場合や、業務の話を聞かずにツールの契約をすすめられる場合は、いったん持ち帰って、①の無料窓口で第三者の意見を聞くことをおすすめします。見積もりの読み方は「中小企業のAI導入の費用はいくら?」の記事で説明しています。

段階別:いまの状況に合う相談先の選び方

相談先は、会社がいまどの段階にいるかで変わります。次の表で、近い状況を探してください(私たちの整理です)。

段階こんな状況合う相談先相談で決めること
1. 情報を集めているAIで何ができるのか、まだよく分からないデジwith、E-SODAN、地域のセミナー自社に関係がありそうな使い道
2. 業務を選んでいる使ってみたいが、どの業務に使うか決まっていないよろず支援拠点(AIアドバイザー)、IT経営サポートセンター、生産性向上支援センター最初に試す業務を1つ
3. 小さく試している一部の人が使い始めたが、ルールや効果の確かめ方が決まっていないよろず支援拠点(AIアドバイザー)、IT経営サポートセンター入力してよい情報、効果の測り方
4. 導入を決めた使うツールが決まり、補助金も検討したいIT導入支援事業者、ITベンダー、取引のある金融機関契約の範囲、費用、申請の段取り
5. 広げたい・定着させたい入れたが使われていない。全社に広げる手が足りない伴走型の民間の支援会社、ハンズオン支援、生産性向上支援センター社内の担当、手順書、ふり返りの日

迷ったら、段階2の窓口に相談するのが無難です。調査でも、AIを導入している企業の中心は生成AI(82.6%)で、身近な業務の効率化から始めている会社が多いことが分かります[1]。大きな投資の相談より先に、「どの業務で試すか」の相談から入るほうが、話が進みやすいと私たちは考えています。

相談の前に用意する1枚メモ

どの相談先でも、手ぶらで行くと一般的な説明を聞いて終わりになりがちです。A4で1枚、次の6つを書いて持っていくと、相談の時間を自社の話に使えます(私たちのおすすめです)。IT経営サポートセンターの面談は1回60分、E-SODANは目安30分なので[5][7]、準備があるかどうかで得られるものが大きく変わります。

項目書くこと例
会社のこと業種、従業員数、主な仕事金属加工、25人、部品の受注生産
時間がかかっている業務を3つ誰が、どのくらいの回数と時間で行っているか見積書の作成(営業2人、月40件、1件30分)
困っていること遅れ、もれ、特定の人しかできない、など見積もりができる人が2人だけで、休むと止まる
いま使っている道具ソフト、表計算、紙、クラウドサービス販売管理ソフト、表計算ソフト、紙の作業日報
試したことこれまでにAIやITで試したことと、その結果社長が生成AIを個人で試した。社内には広げていない
決めたいこと今回の相談で決めたいことを1つ最初にAIを試す業務を1つ決めたい

「時間がかかっている業務を3つ」がすぐに書けないときは、相談の前に、1つの部門か1人の業務を書き出すところから始めてください。書き出し方は「業務棚卸しのやり方」の記事で説明しています。メモには、お客様の名前や従業員の個人情報は書かないようにします。E-SODANも、氏名・電話番号などの個人情報や、企業の営業秘密を入力しないよう求めています[7]。

相談先を使う順番:無料の窓口で整理してから、実行の相手を選ぶ

ここまでの内容を、順番にまとめます(私たちのおすすめです)。

  • 手順1:1枚メモを書く。時間がかかっている業務を3つ書き出す。
  • 手順2:国の無料窓口(よろず支援拠点のAIアドバイザー、またはIT経営サポートセンター)で、最初に試す業務を1つ決める。
  • 手順3:その業務で、1〜2人が1か月ほど小さく試す。入力してよい情報を先に決める。
  • 手順4:効果が見えたら、広げ方を決める。社内でできるなら社内で、手が足りなければ民間の支援会社やIT導入支援事業者に相談する。補助金を使うかもここで決める。
  • 手順5:民間に頼むときは、8つの質問で確かめ、できれば2社以上から話を聞く。

この順番にすると、民間の会社に相談するときには「どの業務で、何を、どこまでやりたいか」が言える状態になっています。見積もりの比較もしやすくなり、必要のない範囲まで契約することを防ぎやすくなります。

相談でつまずきやすい5つのパターン

つまずき起きること防ぎ方(私たちの考え)
ツールが決まってから相談する合わない業務に当てはめることになり、使われなくなる業務を選ぶ段階で、売る立場にない窓口に相談する
1か所の話だけで決めるほかの方法や費用と比べられない無料の窓口を1つはさむ。民間は2社以上から聞く
相談先に丸ごと任せる社内に分かる人が残らず、直せなくなる社内の担当者を決め、面談に同席させる。手順を残してもらう
補助金から考える補助の対象に合わせてツールを選び、業務に合わない業務と目的を先に決め、使える制度があれば使う
向こうから来た連絡に乗る公的機関を名乗る勧誘に巻き込まれるおそれがある[3]公式ページで窓口と制度を確かめてから連絡する

うまくいかない原因と立て直し方は「中小企業のAI導入が失敗する原因と対策」の記事でも整理しています。

相談する前のチェック表

確かめることできていれば
1枚メモ会社のこと、時間がかかっている業務3つ、困りごと、決めたいことを書いた
無料の相談先近くのよろず支援拠点の予約方法、またはIT経営サポートセンターの予約ページを確認した
地域の制度都道府県・市町村の公式ページで、相談会や専門家派遣の有無を確認した
身近な支援機関商工会・商工会議所、金融機関、税理士のうち、相談できる相手を1つ決めた
社内の担当相談に同席し、その後の窓口になる人を決めた
入力のルール相談やお試しで、外に出さない情報を決めた
民間への質問8つの質問を手元に用意した
次の予定相談のあと、いつまでに何を試すかを決める日を入れた

まとめ:売る立場にない相談先を、先に1つ持つ

AI・ITの導入を進める専任の担当者がいる中小企業は3.0%で、ベンダーや製品を選ぶ情報が十分でないと感じている企業は約8割にのぼります[1]。社内に詳しい人がいないのは当たり前で、だからこそ「誰に相談するか」が結果を左右します。

相談先は5種類あり、段階によって合う相手が変わります。何から始めるか決まっていない段階では、よろず支援拠点のAIアドバイザーやIT経営サポートセンターのような、無料で、売る立場にない窓口が使えます[2][5]。そこで業務を1つ決めてから、実行の相手としてIT導入支援事業者や民間の支援会社を選ぶ。この順番が、遠回りに見えて確実だと私たちは考えています。

私たちEnbitoは、業務の棚卸しから始める業務改善とAI活用の支援を行っている民間の会社で、この記事の分類では⑤にあたります。縁SCANは、社員への聞き取りをもとに業務を見える化するための道具です。相談先を選ぶときは、私たちを含めて、8つの質問で確かめてください。

よくある質問

Q.中小企業がAI導入について無料で相談できるところはありますか?
A.あります。国が全国に設置した無料の経営相談所「よろず支援拠点」は何度でも無料で相談でき、令和8年度に各拠点に配置されたAIアドバイザーが、AIを活用できる業務の整理や、導入に向けた社内文書・データの準備などを支援しています[2]。中小機構の「IT経営サポートセンター」は、ITの専門家にオンラインで相談でき、1回60分・無料で、複数回利用できます[5]。専門家にチャットで経営の相談ができる「E-SODAN」(平日9:00〜17:00、無料・予約不要)もあります[7]。
Q.何から始めればよいか分からない段階でも、相談してよいのでしょうか?
A.相談できます。よろず支援拠点は「どの業務にAIを使えるのか分からない」「生成AIを使ってみたいが、何から始めればよいか分からない」といった段階からでも相談できると案内しています[2]。IT経営サポートセンターも、具体的な課題が分からなくても、ITの専門家と話すことで悩みや問題点を整理できるとしています[5]。相談の前に、時間がかかっている業務を3つ書き出しておくと、話が具体的になります(私たちのおすすめです)。
Q.公的な窓口と民間の支援会社は、どちらに相談すべきですか?
A.役割が違うので、順番に使うことをおすすめします(私たちの考えです)。公的な窓口は無料で、特定の製品を売る立場にないため、方向を決める段階に向いています。民間の支援会社は有料ですが、設定・開発・社員への説明など、実行の作業まで頼めます。まず公的な窓口で最初に試す業務を決め、社内の手が足りない部分を民間に頼む流れにすると、頼む範囲がはっきりします。
Q.近くに詳しい相談先がない地方の会社は、どうすればよいですか?
A.オンラインの窓口が使えます。中小機構のIT経営サポートセンターはオンライン面談なので、場所を問わず利用できます[5]。チャットで相談できるE-SODANや、アンケートに答えて自社のデジタル化の状況を確かめられるデジwithも、インターネットがあれば利用できます[6][7]。よろず支援拠点は国が全国に設置しており[2]、現場を見てもらいたい場合は、サポーターが無料で訪問する生産性向上支援センターもあります[2]。
Q.補助金を使ってAIやITツールを導入したい場合は、どこに相談しますか?
A.デジタル化・AI導入補助金を使う場合は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要です(複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く)[10]。ただし、何に使うかが決まっていない段階では、先によろず支援拠点などで業務を整理することをおすすめします(私たちの考えです)。なお中小企業庁は、同庁の認定を受けた会社などを名乗って補助金がもらえると連絡してくる事例について注意を呼びかけており、同庁が補助金の勧誘を電話・メール・はがき・SNSなどで行うことは一切ないとしています[3]。

参考・出典

  1. [1]独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)報告書(PDF。図13、図19、図30、図33・34、図36・37、表8、表10)」
  2. [2]よろず支援拠点全国本部(中小企業基盤整備機構)「よろず支援拠点・生産性向上支援センターとは」
  3. [3]中小企業庁「相談窓口・ご意見・お問い合わせ(補助金・助成金の不審な案内についての注意喚起を含む)」
  4. [4]中小企業庁「IT化、デジタル化、DX化に関するご相談」
  5. [5]独立行政法人中小企業基盤整備機構「IT経営サポートセンター」
  6. [6]独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジwith」
  7. [7]独立行政法人中小企業基盤整備機構「経営相談チャットサービス「E-SODAN」」
  8. [8]独立行政法人中小企業基盤整備機構「生産工程スマート化診断」
  9. [9]独立行政法人中小企業基盤整備機構「ハンズオン支援(専門家派遣)」
  10. [10]デジタル化・AI導入補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金制度概要(デジタル化・AI導入補助金2026)」
  11. [11]中小企業庁「認定経営革新等支援機関」

制度・数値は2026.10.08時点で各公式情報を確認したものです。補助金・助成金などは公募回ごとに内容が変わるため、申請の前に必ず最新の公式情報をご確認ください。

Author

中胡 翔太郎株式会社Enbito 代表取締役

広島県出身。大手日系事業会社で生成AIを実際の業務に組み込み、大手外資系コンサルティングファームで企業の業務改革を支援。個人事業として30社以上の企業・事業者の立ち上げと成長に伴走。現在は株式会社Enbitoの代表として、地方の中小企業のAI活用支援・業務改善に取り組んでいます。

Contactお問い合わせ

まずは、御社の話を聞かせてください。

人が足りない。AIで何をすべきか分からない。まだ整理できていない段階でも大丈夫です。経営の悩みや現場の困りごとから、一緒に整理します。