中小企業のAI導入に使える補助金・公的支援まとめ【2026年版】|無料の相談窓口と地域の制度の探し方
AIツールの導入、省力化の設備投資、社員のAI研修。目的ごとに使える国の制度と、無料で相談できる窓口、自分の地域の制度の探し方を、公式情報だけをもとにまとめました。
この記事の要点
- AIを含むITツール(ソフトウェア・クラウド)の導入なら、中心になるのは「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧:IT導入補助金)です[1][2]。
- AIやロボットなどを使った省力化製品の導入なら「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」、賃上げとあわせた設備投資なら「業務改善助成金」も選択肢になります[3][6]。
- 何から始めるか決まっていない段階なら、まず国の無料相談所「よろず支援拠点」へ。令和8年度は各拠点にAIアドバイザーが配置されています[9]。
- 補助金・助成金は、交付決定の前に購入・導入したものは対象外になるのが原則です。必ず最新の公募要領を確認してから発注しましょう[3][6]。
中小機構が全国の中小企業を対象に行った調査では、AI導入を進めるために必要な公的支援として「導入費用などの助成」を挙げた企業が77.9%、「導入事例などの情報提供」が70.5%にのぼりました[16]。費用と情報の両方が、AI導入の壁になっていることが分かります。
この記事では、中小企業がAI導入で使える国の主な制度と、無料で相談できる公的窓口、そして都道府県・市区町村の制度の探し方を、公式情報をもとに整理します。
最初に押さえたい3つの注意点
目的別:AI導入で使える国の主な制度
| 制度 | 向いている目的 | 問い合わせ・申請先 |
|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026 | AIを含むITツール(ソフトウェア・クラウド等)の導入[1] | 事務局に登録されたIT導入支援事業者と一緒に申請[1] |
| 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) | カタログに登録されたIoT・ロボットなどの省力化製品の導入[3] | 販売事業者と共同で取り組む[3] |
| ものづくり補助金 | 革新的なサービス開発・試作品開発のための設備投資等[5] | 公式サイトの公募要領に沿って申請[5] |
| 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金の引上げとあわせた、生産性向上のための設備投資等[6] | 事業所を管轄する都道府県労働局[6] |
| 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース) | 新規事業などに伴い、社員に新しい分野の知識・技能を習得させる訓練[8] | 管轄の労働局[8] |
デジタル化・AI導入補助金2026(旧:IT導入補助金)
中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的に、AIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。令和7年度補正予算事業から「IT導入補助金」から名称が変わりました[1][2]。2026年の申請受付は3月30日から始まっています[2]。
- 通常枠の補助額:ITツールのプロセス数が1〜3つの場合は5万円〜150万円未満、4つ以上の場合は150万円〜450万円以下。補助率は1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)[1]
- 4つ以上の場合は、1人当たり給与支給総額を年平均3%以上増やすことなどを盛り込んだ賃金引上げ計画の策定・従業員への表明が必要です[1]
- 対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費(導入・活用コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポートなど)[1]
- 申請は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」(ITベンダー・サービス事業者等)のサポートを受けて行います[1]
つまり「使いたいツールが補助対象として登録されているか」「どのIT導入支援事業者と組むか」を先に確認することが、実務上の出発点になります。枠ごとの詳しい要件は公式サイトで確認してください[15]。
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)
IoTやロボットなど、省力化に効果的な汎用製品を「製品カタログ」から選んで導入する補助金です[3]。補助率は1/2以下で、2026年3月19日以降の補助上限額は次のとおりです[3]。
| 従業員数 | 補助上限額 | 賃上げ要件を達成する場合 |
|---|---|---|
| 5名以下 | 500万円 | 750万円 |
| 6〜20名 | 750万円 | 1,000万円 |
| 21名以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
2026年3月の制度改定で、申請受付期間は2027年3月末頃までに延長されています[4]。申請時に人手不足の状態にあることなどの要件があり、交付決定前に購入した製品は対象外です[3]。
ものづくり補助金
公式サイトでは、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発を行うための設備投資等を支援する制度と説明されています[5]。AIを組み込んだ新しいサービスや生産工程づくりなど、「新しい取り組み」を伴う投資で検討する制度です。締切回ごとに公募され、2026年8月には23次締切の採択結果が公表されています[5]。
業務改善助成金(厚生労働省)
事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その費用の一部を助成する制度で、助成上限額は最大600万円です[6]。
令和8年度の申請期間は2026年9月1日から、事業所のある都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日または同年11月30日のいずれか早い日までです[6][7]。対象経費の例として、POSレジシステムの導入や顧客管理情報のシステム化、国家資格者による経営コンサルティングなどが挙げられています[6]。
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)
新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識・技能を習得させる訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです[8]。社員向けのAI研修を検討するときの選択肢になりますが、対象になるかは訓練の内容と要件しだいです。計画の前に管轄の労働局へ確認してください[8]。
無料で相談できる公的窓口:よろず支援拠点
よろず支援拠点は、国が全国47都道府県に設置した無料の経営相談所で、何度でも無料で相談できます[9]。
都道府県・市区町村の制度の探し方
例:広島県の中小企業が使える支援
広島県は2024年9月に「AIで未来を切り開く」ひろしま宣言を行い、AIの活用を後押しする取り組みを進めています[11]。県内の中小企業向けには、次のような支援があります。
- 広島県DX推進コミュニティ:県内企業のDXに関する支援制度・事例・イベント情報を集めたポータルです。約5分の「DX簡易診断ツール」で自社の課題と解決策を確認でき、取組事例や補助金も検索できます[12]
- 中小・小規模事業者DX導入着手支援(伴走支援):従業員100名以下の県内事業者を対象に、プログラム期間中のコンサル費・AIツール費が無料の伴走支援です(令和8年度分の申込受付は終了)[13]
- ひろしまAIサンドボックス:AIの開発者と県内企業などが組んで行う開発・実証に対し、経費の1/2(最大1億円)を県が支援する制度で、令和8年度は17件が採択されています[11][14]
- 同コミュニティでは、生成AI活用事例共有会やDXステップアップ研修なども案内されています[12]
県の支援は年度ごとに募集されるものが多いため、次の募集に備えて、今のうちに自社の課題と対象業務を整理しておくのがおすすめです。
補助金を検討するときの進め方(私たちの考え)
- 1. 解決したい課題と、対象の業務を決める(ツール選びから始めない)
- 2. その取り組みに合う制度を当てはめる(ツール導入なのか、設備投資なのか、研修なのか)
- 3. 公募要領で、要件・対象経費・スケジュールを確認する
- 4. 見積もりと事業計画をつくり、申請する
- 5. 交付決定を受けてから発注・導入する
補助金ありきで高機能なツールを選ぶと、現場で使われないまま終わることがあります。制度はあくまで手段として、自社の業務に合う取り組みかどうかを先に確かめることが大切だと考えています。
よくある質問
- Q.生成AIツールの月額利用料も補助の対象になりますか?
- A.デジタル化・AI導入補助金では、クラウド利用料は最大2年分が対象経費に含まれます[1]。ただし、対象になるのは事務局に登録されたITツールで、枠ごとに条件が異なるため、公式サイトで確認してください[15]。
- Q.補助金の交付が決まる前に買ったツールや機械は対象になりますか?
- A.原則として対象外です。省力化投資補助金では交付決定前に購入した製品は対象外とされ、業務改善助成金でも交付決定前に導入した設備は助成の対象にならないと明記されています[3][6]。
- Q.何から相談すればよいか分かりません。どこに聞けばよいですか?
- A.国が全国に設置している「よろず支援拠点」は、何度でも無料で相談できます。令和8年度は各拠点にAIアドバイザーが配置され、AIを使える業務の整理から相談できます[9]。
- Q.自分の県や市の補助金はどうやって探せばよいですか?
- A.中小機構のJ-Net21「支援情報ヘッドライン」で、国・都道府県の支援情報を地域とカテゴリから検索できます[10]。あわせて、都道府県や市区町村の商工・産業振興担当のページも確認しましょう。
参考・出典
- [1]中小企業庁「中小企業デジタル化・AI導入支援事業『デジタル化・AI導入補助金2026』の概要(令和8年4月)」
- [2]中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました(2026年3月10日)」
- [3]中小企業省力化投資補助金 公式サイト「カタログ注文型とは」
- [4]中小企業省力化投資補助金 公式サイト「2026年3月19日制度改定」
- [5]ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 総合サイト「トップページ」
- [6]厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内(リーフレット)」
- [7]厚生労働省「業務改善助成金」
- [8]厚生労働省「人材開発支援助成金」
- [9]よろず支援拠点全国本部(中小企業基盤整備機構)「よろず支援拠点・生産性向上支援センターとは」
- [10]J-Net21(中小企業基盤整備機構)「支援情報ヘッドライン」
- [11]広島県「「AIで未来を切り開く」ひろしま宣言」
- [12]広島県DX推進コミュニティ「広島県DX推進コミュニティ(公式ホームページ)」
- [13]広島県DX推進コミュニティ「中小・小規模事業者DX導入着手支援(伴走支援)」
- [14]広島県「令和8年度ひろしまAIサンドボックス事業補助金の採択について」
- [15]デジタル化・AI導入補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト」
- [16]独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)調査結果のポイント」
制度・数値は2026.09.26時点で各公式情報を確認したものです。補助金・助成金などは公募回ごとに内容が変わるため、申請の前に必ず最新の公式情報をご確認ください。

